設置地域に適した発電システムを選定する
太陽光発電システムを設置するには、設置場所の気象条件や地域性などを十分に考慮して計画を進めていく必要があります。どちらかというと、都心部よりも郊外の遊休地などに設置される事例が多く、それぞれの地域によって行うべき対策は違ってきます。
それぞれの地域での対策について
海岸に近い地域での対策
海岸に面する地域でみられる主な被害としては「塩害」です。塩分を多く含む潮風の影響で、パネル内の配線やシステムの架台などに錆びが発生する可能性が高くなります。また、パワーコンディショナーなどの機器に塩分が付着すると、重大な事故につながるケースもあるので、システム設置には対策が施された製品を選定することが必要です。
- 代表的な地域など
- 沖縄・離島・瀬戸内海・北海道(松前町~稚内市)・東北(青森県東通村~山形県温海町)など
積雪がある地域での対策
当然ですが、太陽光パネルに雪が降り積もった状態では全くといって言いほど発電してくれません。パネル自体の表面は強化ガラスですので、ある程度の角度で設置すれば積もった雪はすべり落ちてくれます。雪の自重で滑落し、且つ氷結しにくい傾斜角度としては一般的に45度前後で設置します。
また、遊休地などに野立てで設置する場合は架台の高さを高くしておく必要があります。最多積雪時においてもソーラーパネルが埋没しない高さに設計するのが基本です。最多積雪時の情報に関しては、地元気象台のデータを参照し、過去20〜30年ほどに対応しておけば良いでしょう。
- 代表的な地域など
- 北海道・東北・日本海側など
工場地帯に近い地域などでの対策
工業地帯に近い地域や通行量の多い道路脇などでは大気中の二酸化硫黄(亜硫酸ガス)濃度が高く、金属の錆びや腐食が進みやすい傾向にあります。対策としては鋼材に亜鉛メッキ処理を施すなど素材に気を使う必要があります。また、ガラス表面についた塵や埃を雨水と共に流し落とす「セルフクリーニング機能」のついたシステムを採用すると良いでしょう。
降砂・降灰のある地域での対策
降砂・降灰のある地域では、砂塵や火山灰、黄砂などによりソーラーパネルに汚れが堆積します。日所のメンテナンスを怠った場合、状況によっては発電量が低下します。対策としては、雨水によりガラス表面についた塵や埃を流し落とす「セルフクリーニング機能」を選定すると良いでしょう。注意点として、パネルの傾斜が緩い場合はあまり機能しなくなるので、少なくとも30度以上は傾斜角を確保したいところです。
鳥・獣に対する対策
近所に設置してある太陽光パネルをよくよく見てみると、少なからず白い汚れが付着していたりしますが、あれは鳥の糞です。雨が降って汚れが落ちてくれれば良いのですが、糞が付着して乾燥した場合、なかなか汚れが落ちきらず跡に残ります。そういった場合、受光障害になることもあるので早めのメンテナンスが必要です。
また、大型の鳥やカラスは空から小石などを落下させてソーラーパネルを破壊してしまうこともあるようです。その他、たぬきやイノシシなど山から動物が侵入するような場合には、配線や機器の破損など重大な事故につながる場合もあります。専用フェンスなどを設置して極力侵入を防ぐ対策が必要となります。
まとめ
日本は島国なので身近に海がありますし、高温多湿ですし、かといって雪が降る地域もあります。この国には地域や季節によってさまざまな環境の変化がありますので、太陽光発電システムにおいてもそれぞれに対応させなければな機能を十分に発揮することはできません。
特定環境下での性能評価試験
そうした様々な環境特性に応じて、設置される太陽光発電設備に必要とされる性能も異なってきます。そういった我が国特有の事情もあり、太陽光発電モジュールに関しては特定環境下での性能評価試験が規格化されているものがあります。
- 特定環境下での性能評価試験の主な内容
- 温度サイクル試験、高温・高湿試験、塩水噴霧試験、耐荷重試験、降雹試験など
設置する環境に合わせて、上記の試験をパスしているかなど確認してみて下さい。
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