自力で発電量を増やす8つの方法
2014/12/18
太陽光発電による年間売電収益は、【1kWhあたりの売電価格(円/kWh)】×【年間発電量(kWh)】で表すことができます。売電価格は決まっているので、勝負は年間発電量をいかに増やせるかという点に限られます。ここでは、自力で年間発電量を増やすためにはどんなことができるか、について考えてみましょう。
自力で発電量を増やす7つの方法
①発電効率の良いソーラーパネルを選ぶ
現在、流通している主なソーラーパネルには単結晶シリコン型や多結晶シリコン型、ハイブリット(HIT)型、化合物(CIS)型などいろいろなタイプがあります。また、同じタイプでも製造メーカーによってパネルの発電効率は異なりますが、概ね12〜19%程度の範囲に収まります。
一般的に発電効率の良い製品程、値段も高くなるので導入にあたっては検討が必要です。規模が大きい産業用にはコストを抑えたパネルを多く設置するのが主流です。家の屋根に設置するような小規模タイプであれば、初期コストがあがるとしても発電効率の良いパネルを導入する価値はあるでしょう。
②ソーラーパネルの配置計画を工夫する
パネルメーカによって推奨している配置方法は異なります。並べ方によっては同じ敷地でもずいぶんとパネル枚数に差が出てきますので十分な検討が必要です。とにかく敷き詰めれば良いというものではありませんが、基礎や架台の強度やパネル同士の間隔などをしっかりと計算し、効率的な配置ができるような計画となるよう心がけましょう。
③太陽光モジュールの系統を工夫する
太陽光発電では一般的に、何枚かのパネルを一つのグループとするので、電気の流れも系統内でグループ化されるものです。ここで問題になるのは、パネルに落ちる影の存在です。ある系統の一部に影が落ちてしまうと、その系統内の全てのモジュールが影響を受けた結果、発電量が落ちてしまいます。
設置場所に影が落ちる場合には、なるべく少ない系統で収まるよう発電系統の組み方を工夫すると良いでしょう。
ちなみに、化合物系(CIS)を採用しているソーラーフロンティアのシステムは、影にも強く同じ条件でも少ないロスですみます。影が落ちる敷地に関しては、パネルのタイプ・発電系統の取り方を計画段階から十分に検討しましょう。
④パネルクリーニングをする
太陽光モジュールには、ガラス表面についた塵や埃を雨水と共に流し落とす「セルフクリーニング機能」がついていますが、これは雨が降らなければ機能しません。汚れを落とすことは、機器の経年劣化の進行を抑えるだけでなく、発電効率を上昇させることにもつながります。設置環境によっては塵や埃が積もりやすい場合もあるので、散水などによって定期的にクリーニングを実施すると良いでしょう。
⑤夏場の温度上昇対策としての散水
シリコン系の太陽光モジュールは、温度が高くなると発電効率が低下する性質を持っています。一般的に、温度の高くなる夏場に10~15%ほど発電効率が低下するため、夏場より気温の低い3〜5月の方が発電量が多くなります。
現状のところ、太陽光発電の夏場対策としては最も安価なのは散水を行うことです。夏場の気温が上がる時間帯にパネル面に散水を行うことで、効率良く太陽電池パネルの熱を除去することが可能です。方法としては水源に水道を利用する場合、または井戸水や雨水を利用する方法があります。どちらにしてもタイマー・ポンプを利用して自動化もできますが、その辺りはコストとの相談になってきます。
⑥反射板を設置して日射量を増やす
太陽電池パネルの裏側に補助反射板を取り付け、パネル表面から反射した光や、取り逃がした光を太陽電池パネルに反射させる仕組みです。10〜30%ほどの発電量向上が期待できるので、導入を検討する価値は十分にあります。
⑦太陽電池パネルをコーティングする
ソーラーパネルには雨水によりガラス表面についた塵や埃を流し落とす「セルフクリーニング機能」がついていますが、ガラスパネル表面の経年劣化により機能は低下していきます。落ちきれなかった汚れは固着していき、発電効率を低下させる原因になると考えられます。
事前予防対策として、パネル表面にコーティング剤を塗ることで自己洗浄作用を高めることが可能です。また、コーティング剤によっては太陽光透過率が上がる商品もあるので、発電量の向上も期待できます。
⑧パネルの角度を太陽の動きに追従させる
夏場と冬場では太陽高度が異なるため、ソーラーパネルの最適な傾斜角度も異なります。ソーラーパネルの角度を調節することで入射する日射量を増やすことができれば、発電量の向上が見込めます。
自動制御システムによる角度追従、手動による季節ごとの角度調節など、手法はさまざまですので費用対効果をみて導入を検討すれば良いでしょう。
まとめ
少しずつの工夫も積み重ねることで何十%も発電効率を上げることが可能となります。設置規模が大きくなればなるほど、工夫からの見返りも大きくなるので検討する価値は十分にあるでしょう。
「⑧パネルの角度を太陽の動きに追従させる」意外の項目に関しては、設置後でも十分対応できます。実験感覚で試してみて、効果がありそうであれば本格的に導入する方法が得策です。
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