投資回収年月を計算する
太陽光発電システムの導入目的として一番多いのは、家庭用(10kW未満)では光熱費の削減、産業用(10kW以上)では投資目的です。つまり採算性・費用対効果はどうなのかということが皆さんの最も気になるポイントです。
投資回収年月を計算する
コストパフォーマンスはどうなのか、というのを調べる方法としては予想投資回収年月を計算してみるのが分かりやすいでしょう。システムをいくらで導入して、何年で元が取れるかを計算する方法です。投資コストを回収できればそれ以降はほぼ全額を収益として確保することができます。
投資回収年月の計算式【簡易版】
投資回収年の計算式を最も分かりやすく表すと以下の式になります。
- 投資回収年月
- 【システムの設置価格】 ÷ 【年間予測売電収入】
【システム設置価格】:初期費用+ローン金利など
【年間売電収入】:売電価格(H25では38円/kWh)×年間予測発電量(容量×1,000)
- 事例
- 5kWのシステム設置価格が150万になりました。ソーラーローンは利用せず現金で一括購入します。年間予想発電量は5,000KWhです。
- 事例での計算式
- 【初期費用:1,500,000円】÷【年間予測売電収入:38円/kWh×5,000kWh】≒7.89
今回の事例でいくとだいたい7.9年で元が取れることになります。10年目までの売電価格は38円/kWh(H25)なので2.1年の収益は39.9万円。10〜20年目までの予想売電価格を24円/kWhとすると残りの10年の収益は120万円です。20年目までの収益額を合わせると160万円ほどになる予定です。ただし、今回の場合、数年に1回の点検費用や機器の交換費用などは考慮していません。この部分を考慮に入れると実質収益は140万円程になりそうです。月々に直すと、6,000円くらいの黒字です。
家庭用(10kW未満)システムを設置する場合
投資回収年月の計算式【家庭用】
家庭用(10kW未満)の場合、余剰電力買取になるので年間削減光熱費も考慮します。
- 投資回収年月
- 【システムの設置価格】 ÷ 【年間売電収入+年間削減光熱費】
【システム設置価格】:(初期費用+ローン金利など)-(補助金)
【年間売電収入+年間削減光熱費】:売電利益と削減された光熱費との合計
- 事例
- 6kWのシステム設置価格が180万になりました。補助金は国から2万円/kWh、県から2万円/kWh、市町村から2万円/kWhでます。ソーラーローンを利用して10年で返済していく予定です。年間予想発電量は6,000KWhです。我が家の年間電気使用量は3,000kWhです。
- 事例での計算式
- 【初期費用:(180万円+20万円)-36万円】÷【年間予測売電収入:(38円/kWh×3,000kWh)+(28円/kWh×3,000kWh)】≒8.28
今回の事例でいくとだいたい8.3年で元が取れることになります。10年目までの売電価格は38円/kWh(H25)なので1.7年の収益は約39万円。10〜20年目までの予想売電価格を24円/kWhとすると残りの10年の収益は144万円です。20年目までの収益額を合わせると183万円ほどになる予定です。ただし、今回の場合、数年に1回の点検費用や機器の交換費用などは考慮していません。この部分を考慮に入れると実質収益は160万円程になりそうです。月々に直すと、7,000円くらいの黒字です。
産業用(10kW以上)システムを設置する場合
投資回収年月の計算式【産業用】
産業用には補助金はでませんが、固定買取価格の期間が20年間と長いため家庭用(10年間)に比べて有利です。
- 投資回収年月
- 【システムの設置価格】 ÷ 【年間予測売電収入】
【システム設置価格】:初期費用+ローン金利など
【1年間の売電収入】:売電価格(H25では37.8円/kWh)×年間予測発電量(容量×1,100)
- 事例①
- 遊休地に50kWのシステムを1,350万円で設置します。ソーラーローンは利用しません。年間予想発電量は55,000KWhです。
- 事例での計算式
- 【設置価格:1,350万円】÷【年間予測売電収入:37.8円/kWh×55,000kWh】≒6.49
今回の事例でいくとだいたい6.5年で元が取れることになります。20年目までの売電価格は38円/kWh(H25)なので20年間売電収入は4,158万円。元を取った後の13.5年の総収益は約2,806万円ほどになる予定です。ただし、今回の場合、数年に1回の点検費用や機器の交換費用などは考慮していません。この部分を考慮に入れると実質収益は2,700万円程になりそうです。月々に直すと、11万円くらいの黒字です。
- 事例②
- 遊休地に50kWのシステムを1,350万円で設置します。ソーラーローンを利用して10年で返済していく予定です。年間予想発電量は55,000KWhです。
- 事例での計算式
- 【設置価格:1,350万円+約150万円】÷【年間予測売電収入:37.8円/kWh×55,000kWh】≒7.21
今回の事例でいくとだいたい7.2年で元が取れることになります。20年目までの売電価格は37.8円/kWh(H25)なので20年間売電収入は4,158万円。元を取った後の12.8年の収益は約2,661万円ほどになる予定です。ただし、今回の場合、数年に1回の点検費用や機器の交換費用などは考慮していません。この部分を考慮に入れると実質収益は2,550万円程になりそうです。月々に直すと、10.5万円くらいの黒字です。
まとめ
耐用年数を20年間として計算すると現状では、住宅用(5〜6kWh)の場合は年間10万円程、産業用(50kWh)は月々10万円程の黒字になりそうです。
今回の投資回収年月を計算した例では、耐用年数を20年間として計算しています。もちろん、20年目以降の収益も十分見込めるので、実際には何百万〜何千万円は収益として上積みできそうです。
投資回収年は10年以下を目指す
目安として、計算式の値が10未満になるようであれば太陽光発電を導入するメリットは十分にあります。耐用年数を20年として考えても、10年で元をとって残りの10年を収益とできます。20年間の間にはメンテナンスや点検、機材の修繕などのイベントもありますが、投資回収年が10年未満であれば問題ありません。
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